(1) 身体に合併症がないか、血が止まりにくい薬を内服していないか、麻酔の薬のアレルギーがないか(歯科医でする局所麻酔)、糖尿病、心臓弁膜症、アレルギー疾患、門脈圧亢進症、人工血管やペースメーカーの有無などの問診をします。
(2) 検査の当日朝より化膿止めの抗生物質を呑んでもらいます。
(3) 尾てい骨の付近より仙骨硬膜外麻酔といって、肛門周囲を中心に痛みを少なくさせる麻酔をします。
(4) 肛門に超音波の機械を挿入し、前立腺を注意深く観察しながら、股のところより前立腺に向かって針を刺し前立腺の組織を採取します。股のところから刺しにくい患者さんは直腸より針を刺します。(股のところからの検査のほうが感染の合併症が少ない)
(5) 通常10本以上の組織を採取します。
(6) 合併症として
● 頻度は低いですが細菌感染により急性前立腺炎を起こすことがあります。
● 血尿が出ることがあります。放置して問題はありませんが、著しい場合は尿道にカテーテルを入れる場合があります。
● 精液に血液が混入することがあります。放置して問題はありません。
● 稀に麻酔薬によってショックを起こされることがあります。
● 麻酔によるショック、生検後の急性前立腺炎から敗血症を併発し死亡された事例(日本で数例)も報告されています。
前立腺癌の診断手技として日常頻繁に行われている前立腺生検は、文献的に発生頻度が低いとはいえ、様々な合併症を生じることがあるため、経験豊富な医師にしてもらうほうが好ましいと思います。